人生の全てを記録できたなら……そんな妄想を誰しも一度はしたことがあるのではないでしょうか。
一瞬一瞬を記録することで、物語を残す。そんなコンセプトの身につけるカメラがやってきました。
カメラの名前は『Narrative Clip 2』。名前からわかるように、2014年に発売された『Narrative Clip』の後継モデルです。
Narrative Clip 2
私は初代モデルからの愛用者で、2が発表された時にも即予約をしたのです。が、それから実際の発売までの道のりは遠く、気がつけば1年も経っていました。
Narrative Clip自体を使うのは初めてではないし、発表当初高まった熱もすっかり冷めてしまったので(加えて先行ユーザーの声を聞いてるとあまりいい噂もなく……)どうなんだろうと思っていたのですが、いざ使ってみると相変わらずよくできてるなあと感心する出来でした。今日はNarrative Clipがどのような進化をしたのか、なぜNarrative Clipを買おうと思ったのか、そんなお話をしようと思います。
そもそもNarattive Clipとは何か?をご説明すると、一言で言うならば「身につけているだけで勝手に写真を撮ってくれるウェアラブルライフログカメラ」です。
使い方は簡単。充電さえされていれば、あとは身につけるだけで30秒に1回シャッターを自動で切ってくれます。撮りたくない時はポケットなどに入れて光を遮断すれば自動的にオフ状態に。本体を2回軽くタップすることで、その時撮りたい写真を撮ることもできます。
朝から夕まで付けていれば軽く1000枚を超える写真が撮影されるので整理が大変に思われるかもしれませんが、PCに接続もしくは本体からクラウドサービスにアップロードすることで、ソフト側でいい感じの写真を自動で選定して閲覧用アプリに表示してくれます。
Narrative Clipはこの『基本的にユーザーは何もしなくてよい』という体験設計がたいへん優秀です。充電して身につけて、帰ったら充電代わりにPCに接続すればいいだけなのですからね。
(もちろんこれだけ簡便だと悪用や誤解の元となりますので、電車内などでは外しています)
初代モデルとの比較
さてそんなNarrative Clip、バージョンアップによりどのような変化が生まれたのでしょうか。
まずはスペックから、簡単に初代との比較から違いを見てみましょう。
■画素数
500万画素→800万画素
■画角
68°→86°
■本体サイズ
約35x35x10mm→約35x35x12.5mm
■重量
20グラム→19グラム
■バッテリー
48時間→30時間
■追加機能
・動画撮影
・Wi-Fi内蔵
・Bluetooth内蔵
・クリップの取り替え可
こうして比較すると、機能が増えたけれど重量がほぼ変わってない(むしろ軽くなってる)のがわかります。素敵ですね。一方、サイズ感が少し増したのと、バッテリーの持ちが悪くなったのは初代を使い慣れてる身からすると、最初は違和感があります。
アウトプット面で大きく変わったのは画角と動画撮影の2つでしょう。
初代の画角では目の前にフォーカスした写真になりがちでしたが、広角化によってそこからもう少し広めの範囲が写せるようになりました。これで何気ない風景もより映える写真となりそうです。
動画機能についてはバッテリーも消費するしあんまり使わないんじゃないかな〜と思っていたのですが、これが使い始めてみると、とても便利。本体を2タップすれば自動的に撮影してくれるので、パーティーやイベントで力を発揮してくれそうです。
Narrative Clipが持つ面白い現象として、デバイスの小ささゆえに出てくる不具合があります。
例えば、初代はこのように時折グリッチの入った写真を生成してくれることがありました。ソフト側の不具合だとは思うのですが、たまにグリッチ写真が撮れていると、特別なアイテムを手に入れたみたいに嬉しくなっちゃいます。2では改善されちゃってるのかな?
ローリングシャッター効果も発生します。
なぜNarrative Clipを買ったのか?
学生時代、スマートフォンやクラウドサービスの出現によってデジタルデータに対する意識が変わった時期がありました。
写真がいつでもスマートフォンで撮れる。どんなデータもクラウドで保存・管理できる。日記を書かなくてもSNSを続けることで日々のを記録できる。それだけ膨大なデジタルデータを、これから人はどのように振り返るのだろうか?もしそれらのデータを簡単に振り返ることができれば、これまでにない人生の見つめ方ができるんじゃないだろうか。そんな考えが生まれ、デジタルログに関する情報を集めていたところ、当時まだ流行り言葉になる前のライフログという概念と出会い、魅了されました。
卒業制作ではライフログをテーマにしたプロダクトとサービスを考案しましたが、現実には似たような考えのプロダクトはまだ存在しておらず、欲しいけど、スマートフォンで代替されるのかな、と思いながら卒業。それからしばらくして、Narrative Clipの旧称であるMemotoの存在をKickstarterで知ります。
ライフログをここまで素敵なサービスにできるなんて!自分が求めていたデバイスはこれだ!と出資。実際に使ってみての素晴らしさは、ここまでに書いた通りです。
今でこそライフログやウェアラブルカメラはメジャーなカテゴリになりましたが、Narrativeはその先駆けでした。クラウドファウンディングで実際にプロダクトが作られた(しかも当初掲げていたコンセプトやスペックを落とさず)ことや、他のカメラがまだ出荷状態にもなっていない中、すでに2代目が発売されていることがその証拠です。
瞬間をとどめることで、物語を紡ぐ。Narrativeがこれからどのように進化するのか、たまらなく楽しみです。