一般的にレンズ交換式カメラ用マクロレンズは、0.5倍のハーフマクロか等倍マクロの2つに分類されます。
では等倍以上の……例えば2倍、10倍など、より近づいて撮れるマクロレンズがあるかと言うと、市販はほぼされていません。
レンズを逆付けに付けるリバースアダプターや高倍率マクロ撮影ができるコンパクトデジカメを使うという手もありますが、もう少しラクに、できたら高画質で、と思うのが人情です。
今回ご紹介するのは、手軽なお値段で気軽に高倍率マクロが撮れる、そんな素敵なレンズです。
まずはとにかく”画”を観て頂きましょう。
いかがでしょうか。
なんでもない花壇の花が、実に幻想的な姿を見せてくれました。
世界にどこまで近づけるか
レンズ名は『NANOHA』(なのは)。5倍もの高倍率のマクロ撮影ができます。
製作は安原製作所。そんなメーカー聞いたことないぞ、と困惑される方もいると思いますが、知る人ぞ知る面白い会社です。
NANOHAはEマウント用とm43マウント用の2種類がありまして、私はα7 IIにEマウント用を付けて運用しています。もちろんFEマウント(フルサイズのイメージサークル)は想定されていないのでケラレが発生しますが、撮影対象や環境によってはうまく隠れてくれます。
安原製作所はNANOHA以外にも全周魚眼レンズ『MADOKA』やソフトフォーカスレンズ『MOMO』などを作られています。
そう、ピンときた方にはここで記事タイトルの意味がご理解頂けたかと思います。
相性の良い被写体
5倍もの高倍率ですから、選ぶ被写体によっては全く違う姿を見せてくれるのがとてつもなく楽しいです。
試しに新聞紙を撮ってみましょう。
等倍のマクロレンズでは
ここまでが限界ですが、NANOHAであれば
ここまで寄れることができます。インクの一粒ひとつぶが凝視せずとも分かるくらい鮮明に写っています。もはや別の被写体と言っても過言ではありません。
このように、NANOHAを使うことで日常に存在しているなんてことないものでも、一気に魅力的な被写体へと変貌するのです。
他にも面白い被写体として
花や木といった自然物
ガラス
金属類
鉱物
などが挙げられます。
どれも身近にあるものですが、こうしてNANOHAを通して見ることで、別の世界、別の魅力があらわれてきます。
ちなみにマクロレンズ以上にフォーカスがシビアなため、日中の利用でも三脚とレールスライダーの組み合わせが必須です。
そしてもう1つ、NANOHAの個性が光るのが動画撮影。
高倍率で撮る動く世界は、それだけでひとつの作品のようにも見えます。
たったの5倍で、世界はここまで変わる。普通なら近づけないものに、ここまで近づける。
遠出をせずに、たまには身近なものの違う側面に出会いたくなる。そんな楽しみ方をNANOHAは教えてくれます。
今回の機材
Eマウントがあるのですから、フルサイズで楽しむという選択肢、ありだと思います。