道具を変えてみる、という楽しみ
あれは確か、ハービー山口さんがライカのムック本に書いたエピソードだったか。写真が思うように撮れないハービー山口さんに対して、誰かが「カメラやレンズを変えるだけでも気持ちが変わる」、といったアドバイスをされた、という内容だった(と、思う)。そのエピソードを読んだ僕は都合の良いように解釈をし、たまに気分を変えたい時などは最近使わなくなったカメラをあえて選んでみたり、それを言い訳に新しいレンズを買っていたりする。
GX7 mk2とstone
なんて堅い前書きから入ってしまいましたが、今回、タイミングよくGX7 mk2とstoneという2つの道具を使う機会に恵まれましたので、触れてみた感触や使い心地などについて書き記してみようと思います。
まずは簡単にそれぞれを紹介。GX7 mk2はパナソニックが2016年に発売した、ミラーレス一眼カメラ。マウントはおなじみマイクロフォーサーズ。2013年に発売された、GX7の後継機です。……とは素直に言えなくて、実は海外ではGX85やGX80という呼び名で売られていたりもします。ややこしい。
もう1つの道具であるstoneは、日本デザインセンターが開発したMac用のノートアプリです。
日本デザインセンターらしい佇まいのインターフェイスに加え、ノートアプリとしては珍しく縦書きでの入力が可能となっています。THE GUILDの深津さんが開発に携わっていたり、リーンキャンバスを用いていたりと、IT / Web界隈の方なら思わずニヤッとするワードも。まだβ版なのですが、テスター応募経由で使わせて頂いてます。
(勘のいい方はお気づきかもしれませんが、今回と次回の記事は、stoneの縦書きモードにて執筆を試みています)
なぜGX7 mk2を買ったのか
実のところ、GX7 mk2を買う予定はまったくありませんでした。それはなぜか。GX7を持っていて、それに満足していたからです。α7 IIのサブ機として年に数回程度の稼働でしたし、画質や連写などの機能性にも不満はありませんでした。ところがある日、カメラを購入検討している友人の相談に乗っている中で、その予算と目的ならGX7が最適なんじゃないかと思い、キットレンズを含めてお譲りしたのです。
さてこれでマイクロフォーサーズマウントのボディはなくなりました(厳密にはGF1が眠っています)が、レンズはあるわけです。正直、α7 IIだけでは心もとない場面もあります。連写や静音性が必要な撮影には向いてないですからね。じゃあどうするか。新しいカメラを買うしかありません。そしていま手元にあるのが、GX7 mk2。性能は申し分なし、スタイリングも初代より好み、しかもボディ単体で5万円を切っていますから、ちょっとした支出で購入することができました。まだ発売されて1年ほどしか経ってないのに、こんな価格で大丈夫なのでしょうか。
GX7 mk2は気軽にライカごっこができるカメラだった
GX7はグリップが薄く、ファインダーも横に寄っていたため、レンジファインダーカメラライクな使い方、楽しみ方ができました。GX7 mk2も同様の楽しみ方ができるのですが、GX7と比べると、ファインダーが固定式になったことで天面がフラットな見えに変わった点やグリップがさらに薄くなった点から、よりレンジファインダー機を思わせるスタイリングへと変化しました。そして何より、パナソニック製のレンズにはライカ監修のLEICA DGシリーズがあります。絞り環を搭載しているレンズであれば、パナソニック製のカメラに装着することでレンズ側での絞りコントロールが可能です。これはもう、ライカごっこを楽しもうというメッセージに他ならないのではないでしょうか。
常用レンズに15mm F1.7を。中望遠に42.5mm F1.7も。
……という拡大解釈により、所持していたM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8とM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8を売却して、LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPHとLUMIX G 42.5mm F1.7 ASPH. POWER O.I.S.を購入しました。さすがに42.5mmまでLEICA DGで揃えるのは(主に金銭的な事情により)叶いませんでしたが、これで楽しいライカごっこができるというわけです。
35mm換算で30mmの広角レンズ。街中でサッと出して撮るのも、家やお店の中で対象にフォーカスするのも両方得意な焦点距離です。
薄い鏡胴のおかげで、日常使いも苦になりません。なにより、絞り環を意味もなくカタカタッと回すだけでも、楽しい。ちなみにGX7 mk2のシャッター音は控えめに「チャッ」と出るのですが、これがまた、レンジファインダー機で撮っているような気分にさせてくれて気分が上がります。GX7のシャッター音は少しばかり派手でしたからねぇ……。連写が便利なのはわかっているのですが、ついつい単写を選びがちになります。もちろん、GX7に引き続いて電子シャッターも使えるので、イベント撮影などでも力を発揮してくれます。
42.5mmは35mm換算で85mmの中望遠レンズ。僕にとっては、いちばん使いやすい焦点距離です。常用においては15mm f1.7の優秀さが際立ちますが、自分の感覚に沿っているのは、85mm〜90mmなんですよね。強化されたDual I.S.で、この焦点距離でも手振れに気を取られず気軽に撮れるのも嬉しいところ。
画質についてはどうでしょう。ぱっと見の変化はありませんが、GX7 mk2はGX7と違ってローパスフィルターレスのため、よりシャープに解像してくれます。等倍で見るとフルサイズに届かない部分もありますが、必要十分のクオリティを出してくれます。
この2本のレンズについては、また別途くわしく紹介をしていければと思います。
Lモノクロームで夜を撮る
GX7 mk2のお気に入り機能の1つが、Lモノクローム。モノクロ撮影用のモードなのですが、撮れる画がとても好みなのです。
設定でコントラストを最大にしてるので、極端に振った感じの写真が出力されます。モノクローム機能なんてそんなに使わないだろうなあ……と侮っていたのですが、いやはやなんでこんなに面白い。特に面白いのは、夜の撮影。ISO感度とかそういうのを一切気にせずにシャッターを押せます。カラーだと、ノイズがとか、フォーカスが、とか気になっちゃうんですけどね。そういうの許せちゃいます。
サブでもメインでも使える、楽しいカメラ
スペックだけで見てしまうと、フラッグシップ機でない分、GX7 mk2の機能性は抑えられているようにも見えます。ですが、日常的に写真を楽しむカメラとしては、画質や連写性能などがこのサイズのボディに収まっていることは何よりのメリットです。加えてLモノクロームなどの撮影機能、15mm f1.7の絞り環などによって「気軽に持ち出せる」だけではなく「愉しみながら撮影できる」カメラであることを強く感じさせてくれます。フルサイズのお供にもよし、メイン機としていつも持ち歩くもよし、な素敵相棒カメラと言えるでしょう。
では、もう1つの道具であるstoneはどのような使い心地、愉しみ方を提供してくれるのか。それについては後半でお話したいと思います。
今回の機材
パナソニック マイクロフォーサーズ用 交換レンズ LUMIX G LEICA DG SUMMILUX 15mm /F1.7 ASPH. ブラック H-X015-K
- パナソニック(Panasonic)
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価格 ¥ 43,848
¥ 75,600 - 販売者 カメラの大林 (土・日・祝日も発送しております。)