運良く今年度の富士総合火力演習に当選したので、マイクロフォーサーズ機のメリットを存分に活かすべく、超望遠ズームをお供に行ってきました。
富士総合火力演習とは
富士総合火力演習(以下、総火演)とは、御殿場市の東富士演習場で一般公開される自衛隊の演習が誰でも見られるイベントです。1年に1回開催され、本物の戦車やヘリコプターがおこなう実弾射撃を間近で見られることもあって申し込みは毎年超殺到。当選倍率は30倍近くとなっています。
実は総火演に行くのは今回が初めてではなく、3年前に1度行ったことがあります。今回はノリで応募したので当選はがきが来た時は「嬉しい!」と同時に(どうしよう……)とちょっと焦りもしました。理由は後述。当選はがき1枚で3人まで同行できるため、今回は友人夫妻を誘って一緒に行くことにしました。
いざ御殿場へ
総火演は当選したからと言って気を緩めてはいけません。と言うのも、総火演の開始時刻は朝の10時なのですが、開場するのは朝の6時30分なのです。しかも熱心な人は前日から徹夜で並んでいるとか……。つまり、東京から出発するにしても、始発の電車ですら遅いくらいなのです。そう、総火演に当選した人は「どういったプランで御殿場まで向かい、席を取るか」まで考えなければならないのです(焦った理由はこのプランをちゃんと練らないといけないため)。
今回は友人の好意に甘えに甘え、当日の朝3時に車で出発して開場時間ちょうどに並ぶプランとしました。自分は運転免許持っていないので本当に感謝です。。
ちなみに御殿場周辺の宿や駐車場は総火演に当選してからすぐに抑えないとすぐに無くなってしまいます。当選はがきの種類には駐車場付きのものもあるのですが、こちらはより当選倍率が高くなります。今回は駐車場なしだったのですが、運良く近場の駐車場が空いていたので事前に予約をして万全を期すことに。
ただ、この駐車場から会場までが徒歩30分ほどの場所にあったので、行きはちょっとキツかったです。歩いている横をタクシーがどんどん抜き去っていったので、次当選した時はタクシーで直接会場まで向かうのがよさそう。あと開場時間ちょっと過ぎたくらいに着いたので余裕で席取れるかなと思ったのですが全然そんなことはなく、すでにかなりの人が並んでいて驚きました。
というわけで、今年度の総火演は狙っていたスタンド席ではなく、前回と同じくシート席に。とは言え早めに到着したおかげでシート席でも前方のエリアに座ることができました。
LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 IIの実力
前置きが長くなりましたが、ここでようやく機材の紹介を。
カメラは最近お気に入りのGX7 mk2、レンズは新しく買ったLUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 IIです。
なんと35mm換算で200-600mmの超望遠ズームレンズです。なのに小さい、軽い、安い。これぞマイクロフォーサーズマウントの醍醐味といったところでしょう。しかもGX7 mk2との組み合わせなら、Dual I.S. 2の恩恵によって5段分の手ぶれ補正効果が得られます。
総火演は戦車が間近に見られると言っても、実際の距離はある程度離れています(それでも実弾砲撃の衝撃はかなり大きいですが)。となると、一般的な標準レンズやズームレンズでは少々心もとないのですよね。このあたりは前回の経験が活かされています。潔く、今回はLUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 II 1本で勝負することにしました。
シート席と演習場との距離。目視だとこれくらいです。
ではLUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 IIを使うとどうなるか?
ドン!こうなります!
望遠端で捉えたこのディティール。まるですぐ目の前を走行しているようです。実際はそこそこ離れてるんですけどね。これが超望遠ズームの実力……!
もう、ここから先はとにかく写真をご覧頂ければと思います。
固定位置からの撮影しかできないのでアングルのパターンが固まっちゃってますが、臨場感溢れる写真が撮れました。GX7 mk2の秒6コマ撮影のおかげで、素早く展開される部隊の動きや弾道の発射も捉えることができています。
これだけの写真が撮れたのでもちろん大満足なのですが、AFの精度と望遠端での画質は惜しくも値段なり、といったところでしょうか。ほとんどの写真にPhotoshopのぶれ補正をかけて調整しています。とは言え5万円台でこの焦点距離で、を考慮すればさほど問題でもないかなと。
前回の総火演では雨が振ってレンズが曇ってしまい演習の写真をほとんど撮れなかったのがひじょ〜〜〜に悔しかったのですが、今年は雨も降らず、しかも一瞬だけ青空が出てくれた(なんと空挺部隊の出番に合わせて)ので本当に運が良かったです。
GX7 mk2の4Kフォトでマズルフラッシュの撮影にチャレンジ
LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 IIでの撮影以外に総火演で試したかったこと、それはGX7 mk2に搭載されている4Kフォト機能でのマズルフラッシュ(弾を発射する際の火薬の燃焼によって発生する閃光)の撮影です。
GX7 mk2の連写性能は通常では秒6コマですが、4Kフォトを使用することでなんと秒30コマの撮影が可能になります。注意点としては画素数が4K相当になるので、通常の撮影よりもファイルの幅が小さくなります。ですが、決定的瞬間を取り逃すよりは画素数が減ってもきちんと撮れたほうが嬉しいですよね。
4Kフォト機能には撮影パターンがいくつかあり、中でも「シャッターボタンを押した前後1秒間を撮影できる」という4Kプリ連写に期待していました。総火演において戦車が砲撃する場合、赤い色の旗を上げるので予測がしやすいのですが、撃った瞬間にシャッターを切ってもだいたいは撃ち終わったあとなので、4Kプリ連写を使ってシャッターを切る前から撮影できれば、きっと決定的瞬間……マズルフラッシュが撮れるんじゃないかと考えたのです。
そして、4Kフォトで実際に撮影できたのがこちら。
撮影位置の関係もあってベストな構図で撮るのは難しかったですが、初めてでこれは個人的には満足!
1枚目は通常の露出にしていたため飛んでしまいましたが、2枚目では露出を下げることでいい感じのマズルフラッシュが撮れました。砲口から発生している空気の跡も捉えています。
正直なところ、最初にパナソニックが4Kフォトを発表した時はまったく響かなかったのですが、こうやって実際に使ってみるとその便利さが身に沁みます。4Kフォト、ハマりそう。
トータル10万円ちょっとでこれだけ撮れるマイクロフォーサーズすごい!
総火演の撮影を終えて感じたのは、GX7 mk2とLUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 II合わせても10万円ほどなんですよね。APS-Cやフルサイズでこの焦点距離を揃えようとするとレンズだけでだいたい10万円くらいいきます。加えてレンズ自体が長い・重い。そう考えると、この組み合わせはコストパフォーマンスはもとより、機動力(カメラ+レンズの重さ & 連写性能)においてもかなりよいのではないでしょうか。
なかなか日常使いでこの焦点距離を使うことはなさそうですが、それでも1本持っておくと思わぬシチュエーションで活躍してくれるかもしれません。